8/20-23,2013.中国蘇州のCold Spring Harbor Asiaミーティングに参加して

中国蘇州は上海から車で2時間あまり内陸に入ったところにある水郷地域で、「東洋のヴェニス」と呼ばれる美しい街です。この蘇州の郊外に、どういう経緯かは知りませんが、アメリカの有名な研究所Cold Spring Harbor Laboratoryの分所があり、ここではロングアイランド(ニューヨーク)にある本部と同様に、年間を通して様々な医学・生物学のカンファレンスが開催されています(本部と違って研究所自体はありません、カンファレンスの開催のみ)。私は昨年に続いて2回目の参加(昨年は骨研究、今回はイメージングとテーマは異なりますが)でした。会場はとてもきれいな場所で、招待演者は上海浦東空港から専用リムジンで送り届けてもらえるので極めて快適です。ただ、蘇州市内の観光地へ行くのもタクシーで30分くらいかかる隔離された環境で、会場の周囲にもブラッとするようなところもありません。2年連続で参加すると、正直少し飽きてしまった感じもします(しっかり勉強するにはよい環境ということですが)。

蘇州の街には数多くの庭園があり、その多くが世界文化遺産に指定されています。私は昔から京都の寺社仏閣の庭園を巡るのが好きなのですが、それらに似ているようで異なった独特の趣があって興味深いです。例えば、蘇州最大の拙政園ですが、中央に巨大な自然の池を配置し、その周囲に趣向を凝らした楼閣や橋,洞門が散りばめられています。アラベスクを彷彿とさせる複雑な幾何学模様の窓や、圧倒的な存在感をもつ奇岩が江南地方の明るい風景によく合っています。造園は明代とのことで、日本で言えば室町時代。禅宗が栄えて、金閣・銀閣を始めとする名園がたくさん作られた時期と一致します。日中両国の文化的な近接を感じます。

さて、この時期に中国出張に行って帰ってくると「大丈夫だった?」とよく聞かれます。確かに今、日中間の政治的関係はあまりよくないようです。ただ、私はここ毎年、年に数回は中国や韓国に行っていますが、明らかに対日本人感情が悪くなったと感じたことはありません。中国にも韓国にも親しい友人はいますし、彼らとの個人的関係はこれまでも、また今後も変わることはないと思います。研究者をしていて良い事の一つに、研究という共通テーマを通して世界中に友人ができるコスモポリタン性が挙げられます。国家間が緊張関係にあるこういう時代にこそ、国境を越えた活発な研究者の交流によって両国の親善友好に資することが必要なのでしょう。

しかし、いろいろな立場があり難しいことなのでしょうが、国家間としても早く友好関係を構築してもらいたいものです。隣国とは争うよりも協力した方がいいに決まっているということは歴史が証明しています。有史以来、あれだけ喧嘩を繰り返してきたドイツとフランス(およびその他のヨーロッパ諸国)が、大異を捨ててEUという枠組みで協力する姿は、我々も見習うべきでしょう。

大阪からはソウルまで1時間弱(札幌より近い)、金浦空港利用ならソウル市街まで電車で20分くらいの距離ですから、まさに東京出張(羽田空港利用)と同じ感覚です。しかしそういう感覚にならないのは出入国審査(パスポートコントロール)があるからです。ヨーロッパ諸国のシェンゲン協定のようなものができて国境検査がなくなれば、ソウルも上海も簡単に日帰り出張ができるようになるのですが、そんな時代はなかなか来ないでしょうね。

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